徳川美術館・蓬左文庫開館80周年記念夏季特別展 没後400年 徳川家康-天下人の遺産-
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徳川家康の遺産は、江戸時代を通じて尾張徳川家第一の什宝として大切に守り伝えられました。
刀剣・武具・茶の湯道具・衣類・書籍など、多岐にわたる遺産は戦国武将の中でも群を抜く質・量を誇っています。
徳川家康没後400年を記念し、尾張徳川家に伝来した家康の遺産「駿府御分物」「駿河御譲本」を通して、家康の生涯をたどります。
主な展示品
この展覧会の見どころ
本年は徳川家康(1542~1616)が元和2年4月17日に75歳で没してから400年の節目を迎えます。家康は、三河国の一豪族として戦国の世に生を受け、今川氏・織田氏の勢力に挟まれながらも、一大勢力を保持して、豊臣政権下では国内随一の大大名にのし上がりました。豊臣秀吉没後、関ヶ原合戦の勝利を経て、事実上の天下人となり、後に豊臣家を滅ぼして徳川幕府260年の礎を築いたことは広く知られています。
家康はまた、天下人にふさわしい数多くの財産を遺しました。金銀はもとより、刀剣・武具・茶の湯道具・衣類・書籍など多岐にわたる遺産は、家康の子である尾張・紀伊(当時は駿河)・水戸のいわゆる御三家に分与されました。徳川美術館の収蔵品は、まさにこの尾張徳川家に譲られた家康の遺産「駿府御分物(すんぷおわけもの)」が骨格となっています。これらは、家康が日常的に使用した道具や衣服の他、現在、美術工芸品として国宝・重要文化財に指定された名品など、家康の生きた時代を反映する希有な歴史的・美術的遺産でもあります。
第一部「家康の生涯」(名古屋市蓬左文庫展示室)では、徳川美術館や名古屋市蓬左文庫に伝えられた、織田信長・豊臣秀吉・武田信玄・上杉謙信・石田三成など、家康と関わりある武将ゆかりの品々や史料を通して、家康の生涯をたどります。
第二部「家康の遺産」(徳川美術館本館展示室)では、徳川美術館に伝わる家康の遺産「駿府御分物」と、名古屋市蓬左文庫に伝わる家康の蔵書「駿河御譲本(するがおゆずりぼん)」を主体に、家康の遺品の数々を紹介します。遺産台帳である『駿府御分物御道具帳(すんぷおわけものおどうぐちょう)』11冊分(徳川美術館蔵)には、尾張徳川家に譲られた数万件に及ぶ道具類が書き上げられており、その多くは失われたものの、現在、刀剣26件・衣類137件・茶道具20件など、計200件近い作品が「駿府御分物」と確認されています。
しかし、長い伝世の過程で由緒が分からなくなった品々もあるため、徳川美術館の所蔵品の中には、江戸時代からの調査によって、「駿府御分物」に「似寄(により)」(推定品)とされてきた道具も多数存在します。近年の調査においては新たに能面9件が「駿府御分物」の可能性が高いと指摘されました。また、今回の展覧会開催にあたって再調査を行ったところ、中国・明時代(15世紀)の「蓮唐草文堆朱碁笥(銘 大明永楽年製 大明宣徳年製)」と、それに付随する半失透性ガラスでできた「びいどろ碁石」が「駿府御分物」と確認できました。また、『御書籍目録(ごしょせきもくろく)』(名古屋市蓬左文庫蔵)にまとめられた「駿河御譲本」は、記載分の三分の二に相当する259件1,862冊が現存しています。
この他に「駿府御分物」ではないものの、家康が所持した道具や、家康の生前に尾張家初代義直に譲られた道具があり、これらは「東照宮御譲道具(とうしょうぐうおゆずりどうぐ)」「権現様御道具(ごんげんさまおどうぐ)」などと称して、「駿府御分物」と同様に大切に保管されてきました。これらに加え江戸時代に家臣から献上された画像や文書、徳川美術館開館後に購入・寄贈された書状類など、徳川美術館には「駿府御分物」以外にも約120件の家康ゆかりの品々が所蔵されています。
今回の特別展では、家康の生涯をたどるとともに、「駿府御分物」「駿河御譲本」の主要作品の他、「似寄」の道具を含めた天下人・家康の遺産の数々をご紹介いたします。
【学芸部部長代理 原 史彦】
概要
会期 | ~ |
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開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日 |
観覧料 |
一般 1,200円・高大生 700円・小中生 500円 |
主催 | 徳川美術館・名古屋市蓬左文庫・中日新聞社 |
企画展解説者 | 学芸部部長代理 原 史彦 |
協力 | 名古屋鉄道株式会社・名古屋市交通局 |
展覧会図録 |
「徳川家康」1,200円(内税) ▶徳川美術館オンラインショップからもご購入いただけます。 |
記念講演会 |
「徳川家康 -天下人への道-」 |
関連企画 |
ギャラリー・トーク(担当学芸員が展示解説します。) 夏休み子ども歴史教室 |
資料 |
企画展チラシ(PDF:1.5 MB)[更新日:
] 展示作品リスト(PDF:1.0 MB)[更新日: ] |