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定期研究発表会「国宝 菩薩半跏像(伝 如意輪観音)」の謎を解く/山本泰一

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第84回 定期研究発表会
宝菩提院願徳寺蔵「国宝 菩薩半跏像(伝 如意輪観音)」の謎を解く

講師:山本泰一(徳川美術館参与 / 徳川美術館元副館長)
日時:令和6年7月28日(日) 午後1時30分~3時〔開場:午後1時〕
開場:徳川美術館・講堂
定員:80名 事前申し込み不要、当日会場にて先着順
受講料:無料(但し、入館料は必要)

京都・宝菩提院願徳寺蔵「国宝 菩薩半跏像(伝 如意輪観音)」は、瞳に黒曜石を嵌めた面相や粘り気のある彫り口などに異国的な造形感覚が指摘される一木彫像の傑作です。寺では如意輪観音と信仰されますが、文化財名称では尊名が不詳とされます。制作に関しては史料が知られず、先行研究でも確証が得られていません。この宝菩提院像に、類似する白描図像を、奈良国立博物館蔵「重要文化財 諸観音図像」中に見出しました。本図の注記には、奈良・大安寺七重東塔四天柱に描かれた「聖観音像」とあります。大安寺七重塔の建立は光仁天皇の愛子である早良親王が牽引し、早良親王は最新の唐仏教を導入するべく大安寺僧戒明を遣唐使に任命します。戒明は唐の代宗帝に仏師の派遣を乞い、宝亀9 年(778)に来朝した仏師に聖観音像(宝菩提院像)を造像させたと考えられます。
長岡京遷都にあたり、持統天皇ゆかりの願徳寺が内裏の西北角になるように再興して桓武天皇の御願寺とし、新皇統の象徴として聖観音像を安置したと想定しました。

画像:国宝 菩薩半跏像(伝 如意輪観音) 京都・宝菩提院願徳寺蔵

※本発表は研究紀要『金鯱叢書』第49 輯・50 輯( 令和4・5 年刊) に掲載の論考「宝菩提院願徳寺蔵「国宝 菩提半跏像( 伝 如意輪観音)」と相似する白描図像について- 大安寺東塔壁画と大安寺の入唐僧戒明の役割-」を元にしています。
※定期研究発表会とは・・・徳川美術館の学芸員ほかが日頃の研究成果を発表する場です。事前予約不要で、入館者であればどなたでもご聴講いただけます。