名品コレクション展示室 特集展示
粟田口大集合!
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「いかにも美しき肌」と江戸時代初期の刀剣鑑定書で賞賛される、青く澄んだ地鉄をもつ優美な刀剣を生み出した一派、それが粟田口派です。
粟田口派は、東海道の山科から京都への入口にあたる粟田口で、鎌倉時代初期から中期にかけて活動しました。代表的な刀工に国友・久国・国安・国清・有国・国綱・則国・国吉・国光・吉光などがいます。
作風は、不純物が少ないことによるしっとりときめ細かい地鉄、直刃でおとなしい刃文、派手な刀身彫刻や変わった形状が少ないことなどが特徴として挙げられ、格調高く奥ゆかしい風情を湛えています。
ここでは、徳川美術館が所蔵する粟田口派の刀剣を一挙にご覧いただきます。
見どころ
■ 短刀 銘 久国《梁川(大久保)松平家伝来》
■○刀 無銘 国安《徳川綱吉(5代将軍)・徳川吉通(尾張家4代)所持》
■◎太刀 銘 国綱《徳川吉宗(8代将軍)・徳川家治(10代将軍)・徳川家斉(11代将軍)所持》
■○剣 銘 国吉
■ 脇指 銘 吉光 名物 鯰尾藤四郎《初代越前康継再刃(大坂焼物)/織田信雄・豊臣秀吉・豊臣秀頼・徳川家康[駿府御分物]・徳川義直(尾張家初代)所持》
■⦿短刀 銘 吉光 名物 後藤藤四郎《後藤庄三郎・徳川家光(3代将軍)・徳川光友(尾張家2代)所持》
■○短刀 銘 吉光 名物 庖丁藤四郎《大谷吉継・徳川家康[駿府御分物]・徳川義直(尾張家初代)所持》
■ 短刀 無銘 吉光 名物 無銘藤四郎《生駒正俊・徳川秀忠(2代将軍)・徳川義直(尾張家初代)所持》
■ 短刀 銘 吉光《徳川綱吉(5代将軍)・徳川綱誠(尾張家3代)所持》
※⦿国宝 ◎重要文化財 ○重要美術品
徳川美術館が所蔵する粟田口派の刀剣9振を一挙にご紹介します。話題の刀剣だけでなく、重要文化財「太刀 銘 国綱」など、徳川美術館が誇る粟田口の名品を公開いたします。ぜひお出かけください。
【粟田口派の系図】
粟田口派の刀工の関係については、複数の異なる系図が残されている。国家を始祖として、国友・久国・国安・国清・有国・国綱の六人兄弟までは、ほぼ共通しているが、短刀の名手として知られ、現存作例も多い藤四郎吉光の位置付けに違いが見られる。
大きく分けると、鎌倉末期に成立した刀剣書を室町時代に写したとされる『観智院本銘尽』や江戸時代の刀剣書である『校正古刀銘鑑』などにみられる、吉光を則国の子または弟子とする系図と、『校正古刀銘鑑』の基となった『古刀銘尽大全』(展示番号9)などに記された、吉光を国吉の子または弟子とする系図とがある。今日では、後者が参照されることが多く、吉光は国吉の子または弟子と考えられている。
【粟田口派の代表的刀工】
国友・久国・国安・国清・有国・国綱の六人兄弟の内、国友・久国(展示番号12)・国安(展示番号13)は、後鳥羽上皇が全国から御所に名工を招聘して作刀を命じたとされる後鳥羽院御番鍛冶に選ばれたことで名高い刀工である。特に久国は、粟田口の中でも格別に作技が優れ、格調高いと評価されている。御物である「名物 鬼丸国綱」(宮内庁蔵)の作者としてよく知られる六男国綱(展示番号14)は、粟田口としては異風な出来で、やや荒く力強い作風を特色とする。則国の子と伝えられる国吉(展示番号15)は、太刀は少なく、短刀を得意とし、刀では「名物 鳴狐」(東京国立博物館蔵)の作者としても知られる。国吉の子または弟子とされる吉光(展示番号16・17・18・19・20)は数多くの名作を遺した短刀の名手で、唯一の太刀が御物である「名物 一期一振」(宮内庁蔵)である。吉光の短刀は、室町時代から江戸時代にかけて、最も格の高い贈答品として珍重された。
概要
公開期間 | ~ |
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開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分) |
休館日 | 月曜日(但し、5月1日は臨時開館) |
観覧料 |
一般 1,400円・高大生 700円・小中生 500円 |