琵琶 銘 影向<br /><small>名物</small>

琵琶 銘 影向
名物
びわ めい ようごう

 琵琶は箏(そう)とともに、雅楽の合奏「管絃」に用いられる絃楽器である。『枕草子』の「弾くものは」の中で風香調(ふごうちょう)と黄鐘調(おうしきちょう)といった琵琶の調絃や蘇合急(そごうのきゅう)と春鶯囀(しゅんのうでん)の曲名を挙げているほか、一条天皇の元にあった「無名(むみょう)」の銘をもつ琵琶について、中宮定子(ていし)が語っている逸話に触れている。
 本品の「影向」の銘は、藤原中将俊舎が大永元年(1521)12月25日に北野天満宮に詣でてこの琵琶を弾じ、神慮を慰めたところ、神意に通じたため、「影向」と命名されたと伝えられている。後水尾天皇所用。

【室町時代 15世紀】