月百姿 源氏夕顔巻
月岡芳年画
つきひゃくし げんじゆうがおのまき
「月百姿」は月にまつわる画題を集めた揃物で、本図では満月が皓々と輝くなか、白い花や実をつけ、蔓を縦横に伸ばす夕顔の向こうに、乱れ髪の女の姿が中空に浮かび上がる。「夕顔」を題材にした能「半蔀(はじとみ)」「夕顔」では、不慮の死を遂げ、この世に未練を残した夕顔の霊が登場し、僧の弔いによって無事成仏を遂げる。本図のどこか寂し気な女の姿は夕顔の霊であろう。
「月百姿」は月岡芳年(よしとし/1839~92)最晩年の代表作で、病により中断したものの、明治18年から25年までに全100枚が刊行された。
【明治19年<1886>】