能面 般若<br />焼印 「天下一是閑」<br /><small>是閑吉満作</small>

能面 般若
焼印 「天下一是閑」
是閑吉満作
のうめん はんにゃ やきいん「てんかいちぜかん」

 剥き出しの牙、大きく裂けた口は、嫉妬や怒りに燃え上がる女性の怨念を表現している。一方で、八の字の眉からは、激しい怒りに秘められた深い悲しみがうかがえる。「葵上」の後場(後半)では、怨みのあまり鬼の姿へと変じた六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の怨霊に使われる。裏の焼印にある「天下一是閑」とは、面打師の家系である大野出目家(おおのでめけ)初代、是閑吉満(よしみつ/生年未詳~1616)のことで、名工として知られ、文禄4年(1595)に豊臣秀吉から「天下一」の称号を与えられた。

【桃山〜江戸時代 16-17世紀】