国宝
初音蒔絵帯箱 はつねまきえおびばこ
第23帖「初音」に取材し、明石の君が娘の明石の姫君に贈った和歌「年月を松にひかれてふる人に今日(けふ)鶯の初音きかせよ」の歌意を全体の意匠とし、その歌の文字を葦手(あしで)書きに散らす。新年を迎えた六条院の春の御殿が精緻な蒔絵であらわされている。寛永16年に3代将軍家光の娘千代姫(1637~98)が、尾張徳川家2代光友に婚嫁する際持参した調度の一つで、帯を納める箱である。室町時代以来の蒔絵師である幸阿弥家10代の長重が製作に当った。
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用。
【江戸時代 寛永16年<1639>】