檜扇に夕顔模様小袖
紅綸子地
ひおうぎにゆうがおもようこそで べにりんずじ
紅の綸子地に檜扇と夕顔の花の模様を散らした優美な小袖で、第4帖「夕顔」の有名な一場面を思わせる。光源氏が、乳母の隣家に咲く夕顔の花に惹かれ、随身に手折らせたところ、女童(めのわらわ)が出てきて花を載せるよう扇を差し出すという場面である。興味をひかれた光源氏は、やがてその女主人のもとに通うようになる。夕顔と呼ばれた女君は、その後、光源氏と訪れた廃院で物の怪(もののけ)に襲われ、命を落とす。貴公子に愛されるという幸せの絶頂で命を落とす悲劇のヒロインを演出する小袖ともいえよう。
松坂屋コレクション。
【江戸時代 18世紀 J.フロントリテイリング史料館蔵 展示期間:2024/9/22~10/14】