黒塗桐紋鞍・鐙
伊勢駿河守貞雅作
くろぬりきりもんくら・あぶみ
いせするがのかみさだまささく
徳川家康が数度の合戦で使用したと伝わる鞍・鐙で、鞍の前輪(まえわ)・後輪(しずわ)と鐙の中央に大きな赤銅色絵の五三桐紋を付けます。鐙の首の部分には燕の透かし彫りを施し、鞍の居木裏(いぎうら)には燕紋・三本沢瀉紋・伊勢駿河守貞雅の入道号「照安」の花押があります。一般に黒漆塗の馬具は軍陣用とされ、馬の背に深く腰かけ、戦闘での激しい動きにも耐えられる構造になっています。加飾を控えた黒一色のシンプルな造りでありながら、堂々と配された桐紋が際立ち、騎乗者の武威を輝かせたことがうかがえます。
【桃山-江戸時代 16-17世紀】