狩猟図彫彩漆盆 しゅりょうずちょうさいしつぼん
騎馬の狩猟の光景を表した、南宋時代に遡る優品の盆です。近景には七宝繋の地文に馬に乗って佇む五騎、遠景には網目の地文に山間を疾走して狩猟する三騎を配し、一騎は遠景から近景へと近づく場面です。遠景を駆ける馬の鬣(たてがみ)や尾が風に大きく靡(なび)いて躍動感を生み出し、近景の馬は足首の毛までも綿密な毛彫によって表現されます。内側面には山岳に雁や鷺などの鳥、外側面には野山に息づく鹿や猪、狐たちが網目地に配され、盆全体に狩猟にまつわる物語的世界が描き出されています。
【南宋時代 13世紀】