紫檀製「翁澤」置物
伊勢貞門作
したんせい「おうたく」おきもの
いせさだかどさく
尾張徳川家14代慶勝(よしかつ/1824〜83)の御召馬(おめしうま・(貴人の馬のこと)を写した像です。ハリのある筋肉質な体つきや豊かな鬣(たてがみ)など、馬の力強くもしなやかな姿が克明に写し取られています。
この馬は慶勝の父・松平義建(よしたつ)の御召馬でしたが、慶勝が懇望して貰い請け、翁澤と名付けました。慶勝はよほどこの馬を気に入ったらしく、名古屋城の多門櫓に保管してあった紫檀材を下げ渡し、尾張藩の御鞍打師(おくらうちし)だった伊勢貞門に命じてその姿を写させたといいます。
【江戸時代 19世紀】