黒熊毛植三十ニ間筋鉄兜
明珍信家作
こぐまげうえさんじゅうにけんすじてつかぶと
みょうちんのぶいえさく
尾張徳川家14代慶勝(1824~83)が着用した黒塗紺糸威具足に附属する兜で、嘉永2年(1849)に甲冑師・明珍信家によって製作されました。慶勝は元治元年(1864)幕府の命で禁門の変を起こした長州藩に処分を下すため征長総督に任命され、幕府軍を率いて広島まで赴きました。この出征時に携えたのが本具足です。兜の鉢に植えられた黒い熊毛は、他にも類例があり、幕末維新期の武装における流行とみられます。
【江戸時代 嘉永2年<1849>】