雪月花の内 月
市川三升 毛剃九右衛門
大判錦絵三枚続
月岡芳年画
せつげっかのうち つき
いちかわさんしょう けぞりくえもん
三枚続きの横長の画面に、役者の上半身をアップで印象的に描いています。似顔大首絵ですが、江戸時代の大首絵とは印象が異なります。随所に見られる微妙な陰影表現は、西洋画の写実的な表現を消化しきった時期の作であることを示しています。芳年は、そうした近代的感覚と歌舞伎の「和」を巧みに共存させた新しい境地を見せています。
【明治23年(1890) 徳川美術館蔵】