紺紙銀字華厳経
(二月堂焼経)
伝空海筆
こんしぎんじけごんきょう(にがつどうやけぎょう)
奈良・東大寺の二月堂に伝来した『大方広仏華厳経』(六十巻本)の断簡で、紺紙に細い銀界罫線(かいけいせん)を引き、銀泥(ぎんでい)を用い整斉で謹厳な書風で書写されています。
寛文7年(1667)2月13日の修二会(しゅにえ)(お水取り)の際に起きた火災によって焼失した二月堂の灰燼から持ち出されたため、料紙に焼損が生じ、このため「二月堂焼経」と呼ばれています。官営写経所の写経生によって書写されたとみられ、奈良時代に遡る紺紙銀字経の遺例です。
【勅使河原順三・千代子氏寄贈 奈良時代 8世紀】