石山切 貫之集下<br />「ことしけき」 <br /><small>藤原定信筆</small>

石山切 貫之集下
「ことしけき」 
藤原定信筆
いしやまぎれ つらゆきしゅうげ

白河法皇の六十賀に際して製作されたと推定されている「本願寺本三十六人家集」は、当時の能書20名の寄合書きで、書の優美さ、料紙の華麗さなど、王朝貴族趣味を余すところなく伝える品として知られています。
「石山切」は、そのうちの「貫之集下」「伊勢集」の断簡をいい、昭和4年(1929)に分割されるのに際し、本願寺がもとあった摂津の石山(現在の大阪城付近)にちなんで名付けられました。本願寺本の「貫之集」は上下二帖からなっており、「石山切」として分割された下帖は、藤原行成から五代目の子孫にあたる藤原定信(さだのぶ)までの染筆とみなされています。

【重要美術品 勅使河原順三・千代子氏寄贈 平安時代 天永3年(1112)頃】