通切 古今和歌集
「飽さりし」
藤原定実筆
とおしぎれ こきんわかしゅう
『古今和歌集』を書写した上下二帖の粘葉装(でっちょうそう)の断簡です。料紙の表面は、銀泥(ぎんでい)で天地に界線(筋)を引いた歌合用の料紙を縦使いに転用し、裏面は篩目(ふるいめ)に似た布目がついており、篩が「とおし」とも呼ばれたことから「通切」と名がつきました。
筆者は藤原佐理(すけまさ)と伝わりますが、やや縦長の字形で、細身の線を用いた流麗な筆から、藤原行成の曾孫・定実の手によると推定されています。
【勅使河原順三・千代子氏寄贈 平安時代 12世紀】