葵紋扇散蒔絵鼓箱<br /><small>(苅田蒔絵小鼓 附属)</small>

葵紋扇散蒔絵鼓箱
(苅田蒔絵小鼓 附属)
あおいもんおうぎちらしまきえつづみばこ

豊臣秀頼が尾張徳川家初代義直へ贈った能の小鼓を収納する箱です。器面は梨子地(なしじ)に金・銀の薄板を文様に切って貼る金貝(かながい)と蒔絵で扇を散らした優美なデザインです。蓋を開けると、蓋裏に大きく葵紋が一つ、身の内側は金銀泥(きんぎんでい)で描かれた秋草図が全面に貼られた別世界が広がります。金銀といってもギラギラとした濃彩ではなく、かすれを伴う繊細な筆致によって光が抑えられ、秋風になびく草花が描かれています。

【江戸時代 17世紀】