黒塗白糸威具足 くろぬりしろいとおどしぐそく
「具足(ぐそく)始め」もしくは「具足召初(めしぞめ)」は、武家の男の子が甲冑(具足)を初めて着ける行事です。本品は、尾張家3代綱誠(つななり)の具足始めに際し、父の2代光友から贈られた一領で、「代々様御譲」として、尾張家歴代の嗣子の具足始めに用いられました。子どもが着用するため小ぶりに作られています。16代義宜(よしのり)が戊辰戦争参戦のため北越方面に出征した際にも、この甲冑を携えました。威糸の白と耳糸・菱縫などの紅とが慶事にふさわしく、華やかななかにも立派な武将として成長する願いが込められている様子がうかがわれます。
【江戸時代 17世紀】