木曽海道六拾九次之内
洗馬
歌川広重画
きそかいどうろくじゅうきゅうつぎのうち
せば
のぼりかかった満月を柳越しに見ながら、船頭が船を操ります。広重の代表作のひとつに数えられています。色をいくつも重ねた空の表現は秀逸であり、まるで映画のラストシーンのような感傷的な光景です。
画面の変色は、14歳で亡くなった尾張家13代慶臧(よしぐつ/1836~49)の墓所から副葬品として長い間地中にあったためです。500枚以上におよぶ幼君遺愛の作品群は、大名の浮世絵享受を物語る何よりの資料であることは間違いありません。本展で出品する「木曽海道六拾九次之内」の作品はすべてそれに該当します。
【江戸時代 天保6~8年(1835~37)頃 徳川美術館蔵】