東海道五拾三次之内
池鯉鮒 首夏馬市(保永堂版)
歌川広重画
とうかいどうごじゅうさんつぎのうち
ちりゅう しゅかうまいち(ほえいどうばん)
保永堂版「東海道五拾三次之内」は、広重の代表作で、風景版画の頂点に立つ作品のひとつです。北斎の富嶽三十六景の成功にならい、版元保永堂竹内孫八が広重を登用して出版しました。53の宿場に、始点(日本橋)と終点(京都)を加えた全部で全55枚のセットです。この図は、かつて知立(ちりゅう)で首夏(旧暦4月)に10日ほど開かれていた馬市をすがすがしく描く名作です。保永堂版東海道の他のいくつかの図と同様に、『東海道名所図会』から着想を得たようですが、歌川広重という個性のフィルターを通すと、全く別の世界が広がります。
【江戸時代 天保3年(1832)頃 知立市歴史民俗資料館蔵】