源氏物語絵巻収納簞笥
仰木政斎作
げんじものがたりえまきしゅうのうたんす
尾張徳川家19代義親(よしちか/1886~1976)は、開閉のたびに絵巻の損傷が進むことを危惧し、その保存法を模索しました。熟慮の結果、絵巻の紙継ぎをはずし、詞書と絵をそれぞれ平面の状態で台紙に貼り、額に入れて収納すること、そして模本を製作し、普段の鑑賞や研究には原本の代わりにこれを宛てることで、絵巻の保存を図ろうとしました。本品は、額面装となった「源氏物語絵巻」を収納するために義親の命で誂えられた専用の簞笥です。「葉月物語絵巻」と同様、正倉院の棚を参考に仰木政斎(おうぎせいさい)が製作しました。外箱は黒漆塗、内箱は桐木地で、内部には棚を設けて、額を一面ずつ収めます。外箱の朱漆の文字は古筆研究家の田中親美によります。
【昭和10年(1935)】