白綸子地鼓に藤・杜若文小袖

白綸子地鼓に藤・杜若文小袖 しろりんずじつづみにふじ・かきつばたもんこそで

尾張家14代慶勝の正室・矩姫の小袖です。矩姫は二本松丹羽家十代長富(ながとみ)の二女として、陸奥国二本松(現・福島県二本松市)に誕生しました。嘉永2年(1849)に、高須松平家の慶勝(よしかつ)に嫁ぎ、慶勝が尾張家14代の家督を継ぐと矩姫も江戸の市谷上屋敷に入りました。明治16年に慶勝が歿すると落髪し、貞徳院と号し、浅草瓦町邸で72歳の生涯を終えました。
本品は上から羽織ることから打掛(うちかけ)、また裾が長く、歩くときは裾や褄を手で引きあげるため、搔取(かいどり)とも呼ばれました。将軍家や尾張家では、光沢のある綸子の打掛を、旧暦9月9日より3月末までの冬季の正装としました。

【江戸時代 19世紀 展示期間:2021年10月19日~11月7日】