菊折枝蒔絵厨子棚・黒棚・書棚飾り きくおりえだまきえずしだな・くろだな・しょだなかざり
三棚飾りは婚礼調度を代表する調度です。本品は、福君(さちぎみ)の婚礼調度で、梨子地(なしじ)に菊の折枝を配し、近衛家の家紋である抱牡丹文と徳川家の葵紋を散らしています。
福君は公家の鷹司政煕(たかつかさまさひろ)の子として生まれ、文政12年(1829)に近衛基前(もとさき)の未亡人・維君(つなぎみ/尾張家9代宗睦養女)の養女となりました。11代斉温の継室として天保7年(1836)に婚儀を挙げましたが、そのわずか3年後に斉温が病歿し、福君は落髪して俊恭院と号しました。尾張に帰国して名古屋城三之丸御屋形で新生活を始めましたが、翌年、福君も21歳という若さでこの世を去り、建中寺に葬られました。
【江戸時代 18-19世紀】