錐形兜 きりなりかぶと
義直初陣の甲冑に附属する兜です。義直の初陣は慶長19年(1614)の大坂冬の陣で、父・家康と共に参戦しました。義直は翌20年の夏の陣にも出陣し、この兜を着けたと伝えられています。兜の後立(うしろだて)には山鳥の尾羽根がつけられています。当時、義直は15、6歳のため、一般の具足に比べて小振りに製作されています。一見すると簡素な兜にみえますが、兜の黒漆は蠟色塗(ろいろぬり)という黒漆の表面を研ぎ磨いて鏡のような光沢を出す手の込んだ技法で製作されており、天下人・家康の御曹司の初陣用ならではの具足といえます。
【江戸時代 17世紀】