菊鷺文白密陀彫文庫

菊鷺文白密陀彫文庫 きくさぎもんしろみつだぼりぶんこ

蓋表は岩上の雌雄の鷺(さぎ)と七つの花を咲かせた菊花を配し、四隅には梔子(くちなし)、身・蓋の四側面に椿の花を彫りあらわしています。
白漆の製法が発明されるまで、漆工品に白色を用いる場合は、白色顔料を油で溶いた密陀(みつだ)が使用されていました。白密陀は一般的には表面に文様を描く場合にのみで、本品のように塗り重ねて彫り込んだ例は他にありません。「堆白(ついはく)」とも呼びうる白色の彫漆器は本品が唯一で、きわめて貴重な作品です。

【中国・明時代 15世紀】