菊御紋蝶松唐草文様七宝花瓶 きくごもんちょうまつからくさもんようしっぽうかびん
並河靖之(なみかわやすゆき・1845~1927)は明治6年頃から七宝の製作を開始し、京都産業博覧会、フィラデルフィア万国博覧会などに出品を重ね、同11年のパリ万国博覧会では銀賞を受賞するまでに急速に成長しました。本品は昭和天皇の御遺品として泉涌寺(せんにゅうじ)に入った花瓶です。銘は記されていませんが、その製作が明治期の並河靖之工房であることは、その図案や高い技術によって判断できます。深い漆黒地と繊細で高貴な蝶と松唐草文様は、並河七宝の特徴でもあります。
【昭和天皇遺品 明治時代初期-中期 19世紀 御寺泉涌寺蔵 撮影:©山崎兼慈】