花月香箱

国宝

花月香箱 かげつこうばこ

 三代将軍家光の長女千代姫が、尾張徳川家に持参した婚礼調度の一つです。蓋表と四側面には、雲間の月と流水のかたわらに咲く八重と一重の梅の意匠が配されています。平安時代の歌人・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の和歌を思い起こさせてくれます。足付の小箱には「人丸・家持・さる丸・きせん・なりひら・みつね・斎宮・かねすけ・きんたゞ・あつたゞ」と歌仙の名前がそれぞれ記され、壺形の香札30枚が附属しています。花月香は、春秋を代表する「花」と「月」の二つのチームに分かれ、六種の香を聞き分ける遊びです。

【霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用 江戸時代 寛永16年<1639>】