源氏物語玉の小櫛
九冊
げんじものがたりたまのおぐし
江戸時代の国学者・本居宣長(1730~1801)が、およそ40年間にわたり門人に対しておこなった『源氏物語』講義の集大成と言える注釈書です。それまでの注釈を批判的に取捨し、一語一句について精確に読解し、自説を詳細に述べ、人情に感ずべき「もののあはれ」を強調して論じています。「もののあはれ」とは、四季に移ろいゆく風情や男女や親子・友などの間の情愛や離別、哀惜などによって生じる、しみじみとした情緒や気分をあらわす言葉です。「もののあはれを知る」ことは、深い洞察力によって“人の心を知る”ことであると述べています。
【江戸時代 寛政11年<1799> 名古屋市蓬左文庫蔵】