重要文化財
夏秋草図屏風
二曲一双 酒井抱一筆
なつあきくさずびょうぶ
本図は元々、江戸琳派の祖・酒井抱一(さかいほういつ・1761~1828)が11代将軍家斉(いえなり)の実父一橋治濟(はるさだ)の注文により、文政4年(1821)秋から5年にかけて、尾形光琳の「風神雷神図屏風」(東京国立博物館蔵)の裏に描いた屏風です。
静謐な輝きを放つ銀箔地は、右隻では夏の雨上がり、左隻では秋冷の弱まりつつある微かな光をあらわし、観る者を追憶の情へと誘います。光琳の開放的な金地に対し寂寥感のある銀地、風神雷神という天空の神に対し地上の草花へと置き換え、詩情あふれる世界へと昇華した抱一の機知と手腕が光る屈指の名品として高く評価されています。
【江戸時代 文政4年(1821)・5年(1822) 東京国立博物館蔵 《展示期間:4/15~4/30》】