石山切 貫之集下
藤原定実筆
いしやまぎれ つらゆきしゅうげ ふじわらのさだざねひつ
天永3年(1112)3月に白河法皇の六十賀に際して製作されたと推定されている『本願寺本三十六人家集』は、当時の能書20名の寄合書きで、書の優美さ、工芸技術の粋を尽した料紙の華麗さなど、王朝貴族趣味をあますところなく伝えてくれる作品として知られています。
「石山切」は、この『三十六人家集』のうちの『貫之集』下『伊勢集』の断簡をいい、昭和4年(1929)に分割されるに際し、本願寺がもとあった摂津の石山(現在の大阪城付近)にちなんで名付けられました。
『貫之集』は、藤原行成から五代目の子孫にあたる藤原定信(1088~1154)の染筆とみなされています。筆勢のあるリズミカルな筆致を示しています。
【平安時代 天永3年(1112)頃 徳川美術館蔵 重要美術品】