継色紙
伝 小野道風筆
つぎしきし でん おののとうふうひつ
継色紙は「寸松庵(すんしょうあん)色紙」「升(ます)色紙」とともに三色紙と呼ばれ、古筆の中でも特に珍重されています。もとは粘葉装(でっちょうそう)の冊子本で、丁の見開き二頁にわたって和歌一首のみを詞書や詠者名を記さず、散らし書きにしています。
本品は早い時代に余白が切りつづめられ、現状に表装されたのは惜しまれますが、反対にその当時の鑑賞形態が窺われます。雄渾でしかも軽快な運筆、筆継ぎの濃淡の美しさ、視覚に直接造形美を訴えるかな書道芸術としての高い完成度をすでに見せている名筆として不動の存在となっています。
【平安時代 10世紀 徳川美術館蔵 岡谷家寄贈】