破来頓等絵巻 

重要文化財

破来頓等絵巻  はらいとんとうえまき

 不留房(ふるぼう)なる人物が、現世におけるさまざまな執着を断ち切り、何もかも捨て去って、名号(みょうごう)を唱えることにより、阿弥陀仏と一体となり、往生したという説話です。詞書に「破来頓等(はらいとんとう)」という語を繰り返し書いているので、「破来頓等絵巻」の名で呼ばれます。名号を唱えるだけで極楽浄土できるという時宗(じしゅう)の教義をわかりやすく広めるために製作されたとみられます。時宗の教義を絵画化した唯一の作例です。
 絵の第二段は、首に縄を巻かれて杭にくくられ、鬼二匹に痛めつけられる男の姿が描かれています。物事に執着する人の姿を説いた詞書に対応する光景です。

【鎌倉~南北朝時代 14世紀 重要文化財】