源氏物語絵詞

重要文化財

源氏物語絵詞 げんじものがたりえことば

 挿絵のある『源氏物語』の写本で、「浮舟(うきふね)」の前半と「蜻蛉(かげろう)」の一部が現存しています。絵は、柔軟性のある格調高い細線を主に墨一色で描かれ、モノトーンの清雅な美しさを特徴とする白描(はくびょう)やまと絵の代表作です。人物や屋台・自然景などが的確に描き出され、特に細線を引き重ねて輪郭や目鼻に微妙なニュアンスをつける顔貌表現には、平安時代以来の様式的な伝統が示されています。源氏絵の現存作品として、国宝「源氏物語絵巻」に次ぐ古例とされています。

【鎌倉時代 13世紀 重要文化財】