葛飾北斎<br>冨嶽三十六景<br>凱風快晴

葛飾北斎
冨嶽三十六景
凱風快晴
かつしかほくさい ふがくさんじゅうろっけい がいふうかいせい

富士の様ざまな姿を描いた北斎の名作「冨嶽三十六景」の中でも、最も著名な一つであろう。凱風とは初夏の南風のことで、富士は稀に朝焼けで真っ赤に染められることがある。朝焼けや空の藍のグラデーション、大小粗密の差をつけた棚引く鰯雲によって刻々と流れる時間を表して、微動だにしない富士の存在を対比的に際立たせている。

【天保2~5年(1831~34)】