企画展示
知られざる徳川美術館コレクション
-珍品・奇品・迷品-
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徳川美術館では、日頃より収蔵庫内の調査で見いだした作品の紹介に努めていますが、
江戸時代の大名の生活と文化を紹介する常設展示室や特別展・企画展では紹介の難しい作品や、
開館以来一度も展示されたことのない作品が数多くあります。
本展では、徳川美術館が収蔵する珍品や初公開の作品などを取り揃えて紹介します。
主な展示品
この展覧会の見どころ
徳川御三家筆頭である尾張徳川家に伝えられた大名道具を収蔵する徳川美術館は、2015年11月に開館80周年を無事迎えることができました。80年の歩みのなかで、江戸時代の大名の生活と文化を紹介する美術館として、いまや多くの人々に認められる存在になっております。
およそ一万件あまりの収蔵品件数を誇る徳川美術館では、名品コレクション展示室や特別展・企画展示で、日頃の調査のなかから新たに発見した作品の紹介に努めていますが、開館以後80年を数えるにもかかわらず、実は過去に一度も展示されたことのない作品、展覧会の趣旨や展示室の性格などの制約によって紹介が難しかった作品、さらには書籍や教科書などによって広く世間にその存在が知られていながら、展示室での登場の機会の無い作品などが数多くあります。そこで今回の企画展示「知られざる徳川美術館コレクション 珍品・奇品・迷品!?」では、姿形や材質などが他には見られない「珍品」、徳川美術館以外に、おそらく他に類例はないであろうと思われる「奇品」や、過去展示室に登場する機会の無かった「迷品」を一堂に集め、ご覧いただこうと企画いたしました。展示予定の作品を、いくつかご紹介します。
化石を鳳凰の尾羽根(おばね)に見立てた「化石鳳凰硯(かせきほうおうけん)」は、中国・清時代に硯に加工され、江戸時代に日本にもたらされたと考えられます。鳳凰は空想上の鳥のため、別の生物の化石なのですが、鳳凰の姿をとどめた硯として中国や我が国の文人たちの間で珍重されたと想像されます。約18年ぶりの公開です。
また、座って休息する時に顎を乗せるのに使ったらしい「顎杖(あごづえ)」も、例が少ない珍しい杖です。先端が顎のかたちに合わせて作られているのですが、はたして誰の顎がモデルになっているのか、所用者は明らかではありません。
実物の武器である大砲を、なんと花生に改造した「唐銅鉄砲形花生」は、短筒(たんづつ)の大きさの銃身に照準(しょうじゅん)に当たる目当(めあて)がそのままついており、かなり重量のある花生です。尾張徳川家に伝えられた大砲を改造して作ったのは明らかですが、誰が、いつ作らせたか、どのような時に用いたか、どんな花を活けたのか、興味が尽きません。このほか江戸時代に海外からもたらされた作品や、真偽はともかくとして、徳川家康が持っていた、または身に着けたという伝承を伴った作品などをご紹介します。
近代以降に作られた作品は、江戸時代の大名文化を紹介する徳川美術館では展示の機会が稀です。その代表が、桜井清香筆「米騒動絵巻」三巻です。大正7年(1918)の、名古屋での暴動の様子を描いたこの絵巻は、国宝「源氏物語絵巻」や「長篠合戦図屏風」と並ぶ小中学校の歴史の教科書や教材などで紹介される機会が多い人気作品ですが、当館では展示の機会がほとんどありません。前回展示されたのが14年前ですので、久しぶりの展示です。また徳川美術館の創設者である、尾張徳川家十九代義親(1886~1976)が蒐集した作品のうち、従来紹介する機会の少なかった作品もご紹介します。
以上、「知られざる徳川美術館コレクション」展で展示予定の作品をかいつまんでご紹介しました。ご紹介する機会の少なかった作品や、今回初公開となる作品が揃います。「こんな作品があるのか」という新鮮な驚きや、「なんでこのようなものが?」「どうやって使うの?」などの疑問を感じながら、ご観覧いただければ幸いです。
概要
会期 | ~ |
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開館時間 | 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日<但し、1月11日(月)は開館、翌12日(火)は休館> |
観覧料 |
一般 1,200円・高大生 700円・小中生 500円 |
主催 | 徳川美術館・日本経済新聞社 |
協力 | 名古屋市交通局 |
関連企画 |
ギャラリー・トーク(担当学芸員が展示解説します) 土曜講座 珍品コレクター・徳川義親 【講師】:学芸員 並木昌史 |
資料 |
展示作品リスト(PDF:386.9 KB)[更新日:
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