中色縮緬地御所解文小袖 なかいろちりめんじごしょどきもんこそで
縮緬(ちりめん)地の小袖は、正装に用いられる綸子(りんず)地の小袖に対して、準正装とされました。また本品は袷(あわせ)で、袷は春秋の4月1日から5月4日、9月1日から8日までの着用と定められていました。
中色と呼ばれる明るい水色の縮緬地に、上身は桜花と松に月と宮殿・御所車を配し、腰下には咲き競う秋草の中に柴折戸が表されています。上身は『源氏物語』の「花宴」、下は「賢木」の情景を元としています。このように古典文学に題材を得た文様を御所解文様といい、武家女性の小袖によく用いられました。
【江戸時代 19世紀 貞徳院矩姫(尾張家14代慶勝正室)着用】