扇面流図屏風<br />六曲一双の内

扇面流図屏風
六曲一双の内
せんめんながしずびょうぶ

扇面流図は、近世に屏風絵や襖絵(ふすまえ)の画題として好まれた。扇面流しという主題の由来を特定することは難しいが、江戸時代後期の文献には、室町時代に将軍の一行が京都・渡月橋(とげつきよう)を通りかかった際、従者の一人が落とした扇が川に流れる様が美しかったため、皆がこぞって扇を投げ入れた、という逸話が伝えられており、橋と舞い落ちる扇が描かれた本品との関連がうかがえる。本品に描かれている扇には、『源氏物語』や『伊勢物語』に取材した物語絵や花鳥など様々な図様が見られ、屏風絵としての面白さもさることながら、扇一つ一つに描かれた絵を楽しむことのできる作品である。

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【岡谷家寄贈 江戸時代 19世紀】