国宝
源氏物語絵巻
竹河(二)
げんじものがたりえまき
たけかわ
3月の花盛りを迎えた玉鬘邸、姉の大君は18、9歳の年頃で、桜の細長に山吹襲の袿と春にふさわしい色合いの装いです。薄紅梅の装束をまとった妹の中の君は、すらりと優美ですが、華やかさは姉の方が勝っています。
夕暮れが近づいてきたので、二人の姉妹は端近くに場所を移し、幼いときから争ってきた桜の所有権を賭けて三番勝負で碁を打ちます。その傍らで侍女たちも「永年のお争いだから」と囃し立て、数々の歌を詠み交わします。
大君に心を寄せる蔵人少将が、夕暮れの霞の中にほのかに浮かぶ大君の姿を垣間見みて、いっそう恋心を募らせます。
【平安時代 12世紀】