国宝
源氏物語絵巻
関屋・絵合
げんじものがたりえまき
せきや・えあわせ
画像の場面「関屋」は、源氏が17歳のとき、ただ一度の逢瀬を過ごした空蟬は、夫・常陸介とともに任国へ赴いていました。その任が果てて帰京の途中、折しも石山寺に参詣する源氏の一行と空蟬の一行が逢坂の関で偶然出会う場面です。
時は9月末、紅葉の色や霜枯れの草が趣き深く見渡されるなか、源氏の一行が関屋から現れます。空蟬の一行も、人々の旅姿や牛車の様子も田舎びておらず風情があります。空蟬は昔を偲び、心に秘めた想いを和歌に詠みます。
行くと来とせきとめがたき涙をや 絶えぬ清水と人は見るらむ(空蟬)
「関屋」に続く第17帖「絵合」は詞書のみが伝来しており、平成29年(2017)の修復で「関屋」とともに一巻の巻物に合装されました。
【平安時代 12世紀】