能装束<br />紫地牡丹文金襴長絹

能装束
紫地牡丹文金襴長絹
むらさきじぼたんもんきんらんちょうけん

長絹とは能に特有の装束で、絹の単(ひとえ/裏のない仕立)で前身(まえみ)と後身(うしろみ)に分かれ、袖口を広くとって縫いふさいでいない広袖(ひろそで)が付く。文様や色目の種類が多く、平家の公達(きんだち)の武将役のような優美な鎧(よろい)姿にも用いられ、また、優艶な舞を舞う女性の上衣(うわぎ)にも用いられる。
本品は牡丹を蔦(つた)と組み合わせた意匠を、金糸で文様を織り出す金襴の技法で表す。「定家(ていか)」では、後(のち)シテの式子(しょくし)内親王の霊がまとう表着(うわぎ)に、執着心を象徴する蔦文の長絹を用いる。

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【江戸時代 18世紀】