山水図<br /><small>万里集九賛・伝周文筆</small>

山水図
万里集九賛・伝周文筆
さんすいず

近景には突兀(とっこつ)とした岩山に二本の巨松がそそり立ち、中景の山の頂には霞を隔てて寺塔と楼閣がある。遙か遠方の水汀(みぎわ)にのぞむ茅屋(ぼうおく)とさらに遠山が連なる明快に晴れ上がった景である。やや複雑な空間構成は、15世紀末から16世紀初頭の様式を伝えていると考えられる。ただし墨色や筆線・紙質などの特徴は、本品の製作が室町時代までさかのぼらないことを示し、本図は伝承筆者・周文(しゅうぶん)の作ではなく、17世紀頃の摸本と考えられる。

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【岡谷家寄贈 江戸時代 17世紀】