布袋・花鳥図
三幅対の内 布袋図(部分)
ほてい・かちょうず
布袋(生年未詳~916)は、常に杖で布ぶくろを担い、その中に持ち物の全てを入れていたことから布袋と呼ばれた、実在の人物である。末期(まつご)を前に、自身を釈迦の次に衆生(しゅじょう)を救済する弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身であると明かしたという。
本品の布袋は、その名の由来となった布ぶくろに腰掛け、にたりと笑う。左手に持つのは、仏性の象徴とされる宝珠である。布袋図は、狩野派の基礎を築いた狩野元信(もとのぶ/1477?~1559)の作で、左右幅は元信の父・正信(まさのぶ)の筆と伝わるが、絵画表現から後世の作とみられる。土浦藩(つちうらはん)土屋家の蔵帳に載る品で、寛政年間頃に放出された後、尾張徳川家が購入したとみられる。
【室町~江戸時代 16-17世紀】