紫銅向獅子香炉
名物
しどうむかいじしこうろ
武野紹鷗(じょうおう)の愛玩した香炉である。角がある獅子の姿を象っており、顎下の蝶番(ちょうつがい)により頭部が開閉でき、口から煙が出るつくりである。まろやかに肥った上向き加減の顔は、獅子の威圧的な猛々しさは感じず、むしろ愛らしい。こうした器形は、後に、樂家初代長次郎(ちょうじろう)とともに作陶を行った田中宗慶(そうけい)やその息子である同家2代常慶(じょうけい)などによって写され、定型化していった。
【中国・明時代 15世紀】