柿の蔕茶碗 かきのへたちゃわん
柿の蔕は高麗茶碗の種類の名称で、斗々屋(ととや)の一種もしくは姉妹品といわれる。高台辺りの釉肌(ゆうはだ)の発色状態から柿の蔕の名が付けられたという。柿の蔕は通常、斗々屋に比べ、やや高い位置にはっきりと腰が付き、胴部はほぼまっすぐに立ち上っている。釉肌も、黒褐色の中にむらむらと赤褐色があらわれている。
この茶碗の姿は斗々屋に近い。外側の釉肌に強く赤みが出ている。口縁より内側に少し下がって二条の線があり、見込みに五・六個の目跡(めあと)がある。
【朝鮮王朝時代 16世紀 岡谷家寄贈】