唐物文琳茶入 銘 苫屋
大名物
からものぶんりんちゃいれ めい とまや
文琳とは、林檎のような形の丸みのある茶入を指す。本品は、豊後国府内藩2代竹中重義(しげよし/生年未詳~1634)が所持し、ある日の茶会の折に小堀遠州が藤原定家の和歌「見わたせば 花も紅葉も なかりけり 浦の篷やの 秋のゆふぐれ」に因んで名付けたという。本品のやや歪(いびつ)な姿に侘びた風情を汲んたのだろう。
その後本品を手に入れた熊本藩加藤家の家臣・加藤正方(風庵。1580~1648)から、遠州に牙蓋(げぶた)と仕覆(しふく)を依頼したようで、完成した際の遠州の書状が残っている。
【中国・南宋~元時代 13-14世紀】