青磁鯱耳花生

青磁鯱耳花生 せいじしゃちみみはないけ

衣を打つ砧(きぬた)の形をした本体に、魚形の耳が付いた花生である。
仙台伊達家伝来で、現在、静嘉堂文庫美術館が所蔵している鯱耳花生には、胴部に大きなヒビと無数の貫入がみられる。これについて、近衛家熙(いえひろ)の侍医であった山科道安(どうあん)が家熙の言行を記した『槐記(かいき)』に、当時伊達家にあった砧花生はかつて千利休がそのヒビを、砧で衣を打つ際に生じる音の「ひびき」にかけて「砧」と命名したと記されている。造形のみならずこうした由来からも、この形の花生が「砧形」と呼ばれるようになったと知られる。
本品は、数ある耳付花生の中でも、比較的背が高く、大ぶりなところに特色がみられる。

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【中国・南宋時代 13世紀】