重要文化財
刀 無銘 郷義弘
名物 五月雨郷
かたな むめい ごうよしひろ
めいぶつ さみだれごう
郷(江)義弘は越中国(富山県)松倉郷(まつくらごう)に居住したと伝承される鎌倉時代後期の刀工で、正宗の弟子と伝わり、江戸時代には正宗・吉光とともに天下三作と称され珍重されました。
本刀の鍛えは小板目(こいため)が詰んできめ細かく、地沸(じにえ)がついて地景(ちけい)が入ります。刃文は直刃(すぐは)調の湾(のたれ)に小乱(こみだれ)が交じり、足や砂流(すながし)など沸(にえ)・匂(におい)による変化が多く現れています。名は霧のかかったように見える刃文に由来すると伝わります。
寛永16年(1639)、尾張徳川家2代光友(当時は家督相続前)が千代姫との婚礼の祝儀として3代将軍家光より贈られ、元禄12年(1699)に3代綱誠(つななり)の遺物として5代将軍綱吉に献上しました。昭和19年(1944)に徳川宗家(元将軍家)から徳川美術館が譲り受けました。
【鎌倉時代 14世紀】
〔伝来〕黒田長政・徳川秀忠(2代将軍)・前田利常・徳川家光(3代将軍)・徳川光友・綱誠遺物・綱吉(5代将軍)所持
刃長71.8 反り1.5 茎長19.4