能装束<br />紅・萌黄・白・黒段唐草に扇文唐織

能装束
紅・萌黄・白・黒段唐草に扇文唐織
べに・もえぎ・しろ・くろだんからくさにおうぎもんからおり

唐織は、能装束を代表する最も絢爛豪華な装束で、主として女役の表着(うわぎ)として使用される。一見すると刺繡のようにみえるが、多色づかいの織物である。紅色の入った装束を紅入(いろいり)といって、若い女役に用い、紅色を加えない装束を紅無(いろなし)といって中年以上の役柄に用いる。
本品の文様は、夕顔ではなく唐草であるが、『源氏物語』の「夕顔」の一場面、すなわち、五条辺りの賎家に咲く夕顔の花に目をとめた源氏が、従者に取りに行かせたところ、女主人に言われて童女が花をおのせ下さいと扇を差し出すというエピソードを意匠化したヴァリエーションの一つとみなされる。夕顔の女が主人公の「夕顔」や「半蔀(はしとみ)」にふさわしい一領である。

【江戸時代 17世紀】

丈144.5 総裄135.0

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