能面 中将
焼印「天下一河内」 朱漆花押
のうめん ちゅうじょう やきいん てんかいちかわち
「中将」は五位中将であった在原業平(ありわらのなりひら)をモデルにして作られたと伝えられる若い男面である。そのため貴公子としての気品と柔らかさを表現するために、眉墨(まゆずみ)をつけ、口やあごのあたりに女面の形式が採り入れられている。主として「忠度(ただのり)」「清経(きよつね)」などの修羅能(しゅらのう)の公達物(きんだちもの)に用いられる。
「天下一河内」とは、江戸時代第一の技巧家と伝えられる能面作者である河内大掾家重(かわちだいじょういえしげ)のことである。天正年間(1573~92)に生まれ、近江井関家(おうみいせきけ)4代目となり、明暦3年(1657)に歿した。面裏には、喜多家の先祖の花押と目される朱漆花押がある。
【江戸時代 17世紀】
作者:河内大掾家重作
縦20.1 横13.7