重要文化財
布袋図・朝陽図・対月図 名物
三幅対
ほていず・ちょうようず・たいげつず
三幅ともに足利義満の鑑蔵印が捺されていることから、義満の旧蔵品であったと知られる。
中幅の「布袋図」は、宋時代に禅林を中心に流行した、淡墨の略筆による消え入るような水墨画「罔両画」の代表作で、袋にもたれうたた寝する童子を布袋が起こす様を描く。筆者とされる胡直夫の伝歴は未詳で、日本では罔両画(もうりょうが)の筆者にあてがわれてきた。賛は南宋時代末期の禅僧・偃谿廣聞(えんけいこうもん/1189~1263)による。左右幅の「朝陽・対月図」は、人物が陽光の中で糸を紡ぐ様と月光の下で経を読む様で、賛から無住子(むじゅうし)なる人物の画賛と知られるが、江戸時代には牧谿(もっけい)の筆と伝えられていた。
【布袋図:中国・南宋時代 13世紀/朝陽図・対月図:中国・元時代 元貞元年(1295)】
作者:布袋図:伝胡直夫筆・偃溪廣聞賛/朝陽図・対月図:無住子筆・同賛
伝来:室町将軍家(足利義満)…豊国社…徳川家康―徳川義直(尾張家初代)
紙本墨画
布袋図 本紙 縦84.0 横32.2
朝陽図・対月図 本紙 各縦79.2 横32.2